壺齋散人の美術批評
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わしは鳥じゃ:ドーミエの風刺版画




「わしは鳥じゃ(Je suis oiseau, voyez mes ailes. Je suis souris, vivent les rats.)」と題されたこの石版画は、当時の王党派の大物エミール・オリヴィエを風刺した作品。オリヴィエは、二月革命の頃は共和主義者だったが、のちに熱心なナポレオン主義者に転向した。転向後のかれはナポレオンの懐刀になり、普仏戦争に向かって国民をかりたてた。

この絵は、ネズミに羽が生えて蝙蝠になった姿を描いている。ネズミのころは地を這いつくばっていたが、いまや、羽をはばたかせて大空を飛び回ることができる。いい身分ではないか、というわけである。

そのエミール・オリヴィエの尽力で、ドーミエはクールベとともにレジョン・ドヌール勲章をもらえることになった。その勲章をドーミエは拒否した。

(1869年3月 リトグラフ 29.5×29.5㎝ アクチュアリテ)



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