壺齋散人の美術批評
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ダンス教室:ドガの踊り子群像




オペラ座の舞台を描いたドガは、踊り子に興味を持ったようで、以後踊り子をモチーフに選ぶようになる。1871年の作品「ダンス教室」は、小品ではあるが、当初から商品として制作されたものである。この頃のドガは、自分の絵の販売に力を入れており、当初から売ることを目的に絵を制作するようになっていた。販売は、画商デュラン=リュエルが担当した。

踊り子たちが、師匠にダンスのレッスンを受けている光景を描いている。友人たちのツテで、ダンス教室を紹介してもらったようである。踊り子の名はジョゼフィーヌ・ゴジュランとわかっているが、世間的には全く無名だったというから、ドガの友人の知り合いなのだろう。

そのジョゼフィーヌが、両脚を交差させながら、ダンスのステップに取り掛からんとするところ。画面左側に、バイオリンを抱えた老人が腰掛けており、その老人の合図をジョゼフィーヌは待っているように見える。老人の背後にいる年配の女性は、踊りのコーチなのであろう。

小さな画面にかかわらず、大勢の人間が、窮屈さを感じない程度に配置されている。ドガの画面構成の綿密さを感じさせる作品である

(1871年 木に油彩 19.7×27.0㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)



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