壺齋散人の美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板


舞台上のバレーのリハーサル:ドガの踊り子群像




ニュー・オリンズからパリに戻ったドガは、再び劇場に通って踊り子の群像を描いた。その中で、「舞台上のバレーのリハーサル(Répétition d'un ballet sur la scène)」と呼ばれる三点の作品がある。一つはオルセーにあるグリザイユ風の作品で、これは1874年の第一回印象派展に出展されたという。他の二つはニューヨークのメトロポリタン美術館にあり、パステルと油彩で描かれている。

この絵は、オルセーにあるもの。グリザイユ画法にしたがって、灰色っぽい明暗対比で成り立っている。ところどころ淡く色をつけて、単調さを破っている。メトロポリタンのほうは、色彩がずっと華やかである。

やや上から見下ろしたような構図になっているので、ドガ自身は客席の二階あたりから眺めていたのだと思われる。手前には出番に備えて準備する踊り子たち、奥の舞台の上では、本番の演技をおさらいする踊り子たちが描かれている。

(1874年 カンバスに油彩 65×81㎝ パリ、オルセー美術館)



HOME ドガ次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである