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ショパンとジョルジュ・サンドの肖像:ドラクロアの世界




ショパンとジョルジュ・サンドの恋は、芸術の歴史を彩る挿話だ。ジョルジュ・サンドは多感な文学者で、恋多き女であり、またフェミニストでもあった。フィミニストの立場から男性との平等な関係を追及し、たびたびパートナーの男を代えた。ショパンと出合ったときは三十四歳になっており、女ざかりの彼女はさっそく五歳年下のショパンを愛人にしたのだった。

ジョルジュ・サンドは裕福で、ノアンやパリに豪華な家を持っていた。その家には多くの有名人が出入りしていたが、ドロクロアもそれに含まれていた。ドラクロアは、ジョルジュ・サンドの家でこのカップルと親しくなり、かれらの肖像画を描く気になったのだった。

かれらの肖像画は、もともと一枚のカンバスに並んで描かれていたのだが、ショパンの死後に分断されたという。そのいきさつは、詳しくはわからない。全体のサイズは100×150cmほどだったらしい。

上の絵は、ショパンの部分。もともとは、ピアノを演奏するところを描いた図柄だが、顔の部分だけ切り取られて、ピアノは見えない。そのため、ピアノを弾いているのではなく、虚空を見つめながら瞑想に耽っているように見える。



これはジョルジュ・サンドの部分。彼女は壁にもたれてショパンの姿を見おろしているところを描かれている。表情には理知的な雰囲気がただよっている。また組み合わせた腕は、意思の強さを感じさせる。

(1838年ごろ カンバスに油彩 ショパン45.5×37cm サンド79×57cm ルーヴル博物館及びコペンハーゲンのオルドルブガード・コレクション)




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