壺齋散人の 美術批評 |
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神殿を追われるヘリオドロス:ドラクロアの世界 |
「神殿を追われるヘリオドロス(Héliodore chassé du temple)」は、聖シュルビス聖堂の礼拝堂の壁画として製作された。1850年頃にとりかかり、完成したのは1861年のことであった。晩年のドラクロアは数多くの大作の注文を受けており、それらを平行して手がけたので、時間がかかったのである。 モチーフは、旧約聖書外典「第二マカベア書」から取られている。シリアの宰相ヘリオドロスがエルサレムの寺院に押し入って、財宝を略奪しようとしたところ、天から騎士が降りてきてかれを打ち倒したという内容である。 エルサレムの寺院内部を舞台として、馬にまたがった騎士とその従者たちがヘリオドロスに襲い掛かる場面を描いている。ヘリオドロスは馬の脚によって組み伏せられ、それに向って騎士が鑓を打ち込もうとしている。迫力が伝わってくる作品である。 なおこの作品と並んで、「ヤコブと天使の戦い」が製作された。東西それぞれの壁面に向かい合って飾られている。 (1861年 壁面に油彩とワックス 751×485cm パリ、聖シュルビス聖堂) |
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