壺齋散人の 美術批評 |
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白い馬:ゴーギャン、タヒチの夢 |
1897年の自殺未遂からゴーギャンは比較的早く回復したが、経済的な困窮が深まり、日々の糧を得る為に、現地の役所に雇われてつまらない仕事をするハメになった。だがそのうち、パリから「我々は何処から来たのか」が売れたという知らせと、いくばくかの金が届いた。そのことで気をよくしたゴーギャンは、再び制作の意欲が湧き上がるのを覚えた。「白い馬」と呼ばれるこの絵は、そんな折のゴーギャンの傑作である。 馬はタヒチ人にとって、家畜というよりは、友だちのような存在だった。そんな馬とタヒチ人との共存をこの絵は描いている。手前の白い馬は裸のままで首を伸ばし、泉の水を飲んでいる。背景には人間を乗せた二頭の馬が、林のなかを悠然と走り回っている。人間の姿勢から、これらの馬が走っていると推測できるのだ。 「白い馬」といっても、鮮やかな白ではなく、かなり濁った白で、その分背景から浮き上がった感じはしない。馬の背後にある白い筋状のものや、その手前の白い花のほうがかえって浮き上がって見える。普通ならモチーフの馬を浮かび上がらせるところだが、ゴーギャンはそれを逆にしたわけだ。 構図が比較的単純なので、色の明暗の弱さをあまり感じさせないですんでいる部分はある。 これは、背後の人間を乗せた馬の部分を拡大したもの。手前に樹木の枝を描き、その枝の間から人間をのぞかせることで、奥行きを感じさせようというつもりのようだが、この絵からは、全体としては、奥行き感は伝わってこない。(1898年 カンヴァスに油彩 140.5×92cm パリ オルセー美術館) |
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