壺齋散人の 美術批評 |
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いつ結婚するの(NAFEA Faa ipoipo):ゴーギャン、タヒチの夢 |
「いつ結婚するの(NAFEA Faa ipoipo)と題したこの絵は、ゴーギャンの第一次タヒチ滞在時代の傑作の一つだ。長らくバーゼル美術館が保存してきたが、2015年に所有者が匿名の相手に売却した。その時の価格は三億ドルだったそうだ。 タヒチの自然のなかで、二人の女が叢にすわっている。どちらもそれぞれかかわりのない動作をして、観客の方へ向いている。二人とも別々にポーズを取っているようで、話し合っているようには見えない。ところが題名の「「いつ結婚するの(NAFEA Faa ipoipo)」は、二人の間の会話を連想させる。 どちらがこの問いを発したのだろうか。髪に花飾りをつけた女に後ろの女が話しかけているのだろうか。それともその逆だろうか。後ろの女も、それなりにドレスアップしているから、こちらが結婚を控えていると考えてもおかしくはない。ゴーギャンは、題名に曖昧さを持たせることで、観客の想像をかきたてようとしたのかもしれない。 背景は、ゴーギャンとしては手が込んでいる。遠景の山の手前に草原が広がり、更にその手前の叢に女たちが座っている。横に分割された背景のなかに、女たちを縦方向に差し入れることで、全体としてのバランスを図っているわけだ。 構図としては結構複雑さを感じさせるが、色彩を出来る限り単純化することで、ゴーギャン特有の単純な色彩感が演出されている。 これは、この絵のための下書きとして書かれたデッサンだ。「うずくまるタヒチ女」と題したこのデッサンを、ゴーギャンは油彩画にそのまま利用したわけだ。正確に写し取れるように、デッサンの容姿に罫線が引かれている。(カンヴァスに油彩 101.5×77.5cm) |
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