壺齋散人の 美術批評 |
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かぐわしき大地(TE NAVE NAVE FENUA)
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ゴーギャンは、「悪魔の言葉」でイブのイメージを暗示的にあらわしたが、「かぐわしき大地(TE NAVE NAVE FENUA)」と題した絵では、それを明示的に表した。ここで描かれているのは、タヒチのイブのイメージなのだ。 タヒチのイブは、リンゴのかわりに孔雀の羽のような形をした架空の花を持ち、タヒチにはいない蛇にかわって、赤い羽根をつけたグロテスクなトカゲが誘惑の言葉をささやいている。このトカゲは実にユニークだ。 ゴーギャンはこの女性のイメージを、1889年のパリ万博で見たボロブドール寺院の浮き彫りにヒントを得たという。「市場にて」では、エジプト絵画のイメージを援用し、ここではボロブドールのイメージを援用するなど、ゴーギャンは異国趣味が好きだったのだろう。 モデル自体は、妻のテウラだと思われる。この絵の中のテウラは、年齢に拘わらず、成熟さを感じさせる。(カンヴァスに油彩 91.3×72.1cm 大原美術館) これは、この作品のための下絵として描かれた水彩画。これには「タヒチのイブ」という題名が付けられている。水彩でうすく色づけしたうえに、小さな点をもちいて点描画の雰囲気を楽しんでいる。赤い羽根をつけたトカゲや、孔雀の羽の模様の花は、油彩画と同様である。 |
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