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アルルのはね橋:炎の画家ゴッホ





ゴッホは1888年の3月にアルルにやってくると、さっそく町はずれの田園地帯に出かけてスケッチをした。中でも気に入ったのはラングロア橋というはね橋で、ゴッホはこの橋を、デッサンも含めると十点も描いている。その中で最も有名なのがこの作品だ。

早春を感じさせる真っ青な空をバックに、のどかな田園風景が広がる。川にかかったはね橋の上を一頭立ての馬車がとおりがかり、その下の土手では大勢の女たちが洗濯をしている。馬はこちらに顔を向けて女たちを見ているが、女たちは一心不乱に洗濯に打ち込んでいる。

川も空の青さを反映して真っ青だ。その空と川とが画面の大部分を占めるので、全体として寒色優位の色彩配置になっている。その寒色をバックにして、赤やオレンジと言った暖色が効果的に使われている。

この絵のバリエーションとして、橋の上を恋人が通りがかるというのもある。またこの絵と全く同じ図柄が水彩でも描かれている。

この橋はオランダの技術者が作ったそうで、ゴッホにとっては故郷のオランダを想起させたのだという。

(1988年3月 カンヴァスに油彩 54×65㎝ オッテルロー、国立クレラー・ミュラー美術館)




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