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プロヴァンスの積みわら:炎の画家ゴッホ





「プロヴァンスの積みわら」と題されたこの絵は、「ラ・クロの収穫」と連作をなすものである。「ラ・クロの収穫」では、アルル郊外の麦畑での黄色く色づいた麦とそれを収穫する人々がモチーフになっていたが、この絵では、収穫された麦が積みあげられている様子が描かれている。

二つの巨大な積みわらが画面いっぱいに描かれ、遠景には農家や作業小屋が配されている。その農家と積みわらとの間に一人の農婦が立ち、なにか作業をしている。

「ラ・クロ」は全体が遠景になっていて、動きの乏しい画面だが、こちらは前景と遠景との間に遠近が強調され、動きのある画面になっている。

積みわらやその周囲の草を、荒々しい筆のタッチで描くほか、空も又筆を荒々しく動かしてダイナミックに表現している。

全体的な色彩感としては、暖色の黄色と寒色の青と緑とが強烈なコントラストを感じさせる。

(1888年6月 カンバスに油彩 73.0×92.5㎝ オッテルロー、クレラー・ミュラー国立美術館)





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