壺齋散人の 美術批評 |
HOME | ブログ本館 | 東京を描く | 水彩画 | 日本の美術| プロフィール | BBS |
夜のカフェテラス:炎の画家ゴッホ |
ゴッホはアルルの夜のカフェを描いた絵を二枚残した。一枚は「貧しい夜の放浪者が眠る」と彼自身が言うところの労働者向けのカフェ、もう一枚はこの絵である。これはアルルの町の中心部フォルム広場に面したカフェを描いたものである。 星空の下の明るいカフェの様子が描かれている。店の外側に道路に面したテラスを設け、そこにテーブルと椅子を並べて客に給仕する、というのはパリはじめフランスのどこの街角でも見られる風景だ。この絵の中のカフェにも、大勢の客がくつろぎ、彼らの間をガルソンが給仕して回っている。 路上にも何人かの人々が歩いている姿が見られる。彼らはおそらく星空の灯りに照らされて、明るい夜道を不安なく歩いているのだろう。その星空は青を基調にして、すみれ色で塗られた星たちがまばゆい輝きを放っている。 道路は石畳でできているようだ。ゴッホはその敷石を丁寧に描いている。テラスの延長にある明るく照らしだされた部分は明るく描き、それ以外の部分、特に手前の部分は黒っぽく描かれている。ゴッホなりの光の表現なのだろう。 構図的にも遠近法がきいていて、画面に安定性がうかがわれる。 (1888年9月 カンバスに油彩 81×65.5㎝ オッテルロー、クレラー・ミュラー美術館) |
|
HOME| ゴッホ | 次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2018 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |