壺齋散人の 美術批評
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自画像:ゴッホの自画像8




この自画像は、前作とほぼ同じ時期に描かれ、やはり点描の真似事が伺える。この作品では、点の打ち方はいっそうぞんざいになっていて、むしろ作品の印象を妨げているほどだ。ゴッホがなぜこんなぞんざいなことをしたのか、その意図がよくわからない。

点のぞんざいさを別にすれば、明るい背景から浮かび上がったところなど、インパクトが感じられ、技術的な進歩はうかがえるようだ。この時期のゴッホは、いろいろな手法に挑戦している最中だった。

絵の中のゴッホは、前作とは正反対の方向を向いている。こちらは、額に表情が感じられ、両唇もしっかりあわされていて、意思のようなものを感じさせる。その分、技術的に問題があるにかかわらず、絵としての迫力がある。

(1887年春、キャンバスに油彩、41.0×33.0cm、アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館)





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