壺齋散人の 美術批評
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牢獄:ゴヤの版画



(感じやすかったがために)

ゴヤの時代のスペインは、他の西洋諸国と比べて歴史の歯車がひとサイクル遅れていたので、いろいろなタイプの人々が牢獄に入れられていた。牢獄は、犯罪者を処罰する所という側面の外に、社会の常軌から外れた連中を排除し、隔離するための場でもあったわけだ。

この絵には、一人の若い女が牢獄の独房に監禁されている。彼女が監禁された理由は、題名からすると、「感じやすかったがため」ということになるが、感じやすかったというだけの理由で投獄されたのだろうか。

おそらく彼女の感じやすさが、聖職者たちには異常に見え、神の摂理に反していると判断されたのかもしれない。その結果彼女は牢獄に監禁された。監禁場所が独房であるのは、彼女の感じやすさが、他の人間にも伝染するおそれがあると判断されたからだろう。

独房の暗闇から浮かび上がった、女の白いイメージが、孤独の深さを物語っているようである。


(睡魔が彼女たちを圧倒する)

これは雑居房に入れられた女たち。みな思い思いの姿勢で居眠りをしている。あたかも、居眠りは伝染するものだというように。しかし、他の悪徳と比べれば、居眠りはそんなに悪質なものではない。だから、この女たちを同じ雑居房に入れておいても、大した不都合はないと判断されたのだろう。

手前の三人については、その服装からして、聖職者だとする意見もある。そうだとしたら、これらの聖職者は、どんな罪名で投獄されたか、興味をそそられるところだ。





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