壺齋散人の 美術批評
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アルカイック美術のコレー:ギリシャ美術




アルカイック美術という概念は、クラシック美術との対比から作られたものである。紀元前五世紀に花開いた美術をクラシック美術と呼び、ギリシャ美術の完成された形とする考え方が優位になったときに、それ以前の段階の美術を、一段劣る未熟なものという意味でアルカイック美術と呼んだのである。しかし、今日では、アルカイック美術を未熟な段階の美術とする考えは少数派である。アルカイック美術には、それにふさわしい意義を認めるべきだというのが、今日の主流の考えである。

アルカイック美術は紀元前七世紀から六世紀にかけて全盛期を迎えた。その最大の特徴は、等身大の人物像だ。これには男女それぞれがあり、女性の像は女神の宮殿に、その侍女としてささげられたものが多い。一方男性像は、裸体であり、アポロンあるいは競技者であると考えられる。

アルカイック美術の女性はコレーと呼ばれる。コレーとは少女という意味である。その少女の表情を見ると、ほとんどの場合、微笑している。この微笑をアルカイック・スマイルと言って、アルカイック美術の大きな特徴となっている。

上の写真は、アクロポリス出土の、着衣のコレー像。大理石造である。この女性像も、アルカイック・スマイルを浮かべている。



これもアクロポリス出土のコレー像。少女が右手に果物をもっているところから、果物をもったコレーとして知られている。アクロポリス出土のコレー像は、紀元前520年前後に作られたと考えられる。




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