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ミュロンの円盤を投げる人:ギリシャ・クラシック美術




紀元前五世紀の前半に花開いたクラシック美術は、ミュロン、フェイディアス、ポリュクレイトスの三人によって代表される。このうちミュロンは最年長で、一気にクラシック美術を完成させた人と評価されている。ミュロンの原作は残っていないが、その作風を伝えるコピーが二点伝わっている。そのひとつが、この「円盤を投げる人」である。

一見してわかるように、これは動きのなかの一瞬をとらえている。このように、人間の身体のリズム感を表現するのがミュロンの特徴で、もう一つの作品「アテナとマルシアス」も、人間の身の動きを表現している。

円盤を持った右手を、後ろに大きくかざし、左手でバランスを取りながら、いまにも投擲する瞬間を表現している。投擲に向って緊張した身体は、盛り上がった筋肉に集約される。



これは、身体の正面からの眺め。両足を交差させてエネルギーをため、顔は円盤のほうを向いている。(ローマ国立美術館ほか)




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