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プラクシテレス:ギリシャ、後期クラシック美術




紀元前四世紀の前期から中期にかけてのギリシャ美術は、後期クラシック美術と言われる。この時代のギリシャは、ペロポネソス戦争(BC432-404)の後の混乱期にあたり、やがてアレクサンドロスによって統一されるのであるが、そうした政治的混乱をよそにするかのように、美術の分野では、感情表現が豊かな、感覚的な新しい美術が開花した。

後期クラシック美術を代表するのは、プラクシテレス、スコパス、リュシッポスの三人である。そのうち、プラクシテレスは、その後の西洋美術に直接の影響を及ぼしているとされる。特に、裸体の女性の美しさを彫刻に込めたことは、かれの偉大な功績だった。女性の裸体像は、かれが初めて作ったわけではないが、かれによって、美術の不可欠のジャンルに高められたのである。

上の写真はクニドスのアフロディテ。ミロのビーナスを始めとした、女性の裸体像の規範となった作品である。プラクシテレスはこれを、クニドスで作った。そのさいに、アフロディテの裸体像と着衣像の両方を作ったそうだが、この裸体像のほうが、後世への影響が強かったわけである。(ヴァティカン美術館)



これは、ヘルメス像。右手で抱えているのはディオニュソスである。この時代には、エロスが好まれたが、この像にもエロスの雰囲気が漂っている。(オリュンピア出土、オリュンピア美術館)




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