壺齋散人の 美術批評
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ヘレニズム美術のリアリズム




ヘレニズム時代には様々な王国が併存し、それぞれ独特の美術が花開いたが、もっとも有力だったのは、ペルガモンを中心とするリアリズムの美術だった。上の写真は「死にゆくガラテア人」といって、リアリズム美術の代表作である。戦いで瀕死の傷をおったガラテア人が、いまにも死にゆくところを、リアルに表現している。

ガラテアとは、ガリア人の一派が小アジアに作った国家。ギリシャ本土や小アジアに脅威を与えたが、ペルガモンによって撃退された。その戦勝を記念して、ペルガモン王アッタロス一世が群像を奉納した。この像はその一つである。首に金属の輪を巻いているのは、ガラテア人独特の風俗だったようだ。(BC三世紀末、ローマ、カピトリーノ美術館)



これは、「眠るサテュロス」像。サテュロスはディオニュソスの仲間で、半神半獣の姿で表象されていたが、この像では、人間の姿で表されている。男根を強調しているところは、伝説の内容と一致している。(BC三世紀末、ミュンヘン古代彫刻館)




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