壺齋散人の 美術批評 |
HOME | ブログ本館 | 東京を描く | 水彩画 | 日本の美術| プロフィール | 掲示板 |
ルブリョフの聖三位一体:ロシア正教のイコン |
アンドレイ・ルブリョフの「聖三位一体」は、ロシアのイコン史上で決定的な役割を果たした。このイコンが現れて以降、類似した図柄のイコンが、ほとんど無数に作られたのである。 聖三位一体とは、父と子と精霊をさす。それがイコンに描かれるのはルブリョフ以前にさかのぼるが、それらの殆どは、アブラハムとその妻サラとが、三人の謎めいた客を迎えると言う「創世記」の場面をイメージ化したものだった。したがって、アブラハムとサラと並んで、三人のイメージが描かれていた。 ルブリョフはその伝統を覆して、アブラハムとサラを省き、三人の人物だけを取りだして描いた。そしてこの三人を、父と子と精霊のイメージだと主張したのである。これは画期的なことだった。だが、父と子と精霊を偶像化するものだとの指弾をうける恐れもあった。しかしそうした恐れを乗り越えて、このイコンは大きな敬愛を集めた。 これは、中央のキリストのイメージを拡大したもの。かれの表情は、ほかの二人の表情とよく似ている。(トレチャコフ美術館) |
HOME | ロシア正教のイコン | 次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2019 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |