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聖三位一体のイコン:ロシア正教のイコン




アンドレイ・ルブリョフの聖三位一体のイコンは大きな影響力を及ぼし、15世紀から16世紀にかけて夥しい模倣品が作られた。それにはロシア正教の百章会議が、模倣すべき手本として信徒たちに示したという動きがあった。この聖三位一体のイコンも、そうした模倣品の一つである。

構図はアンドレイ・ルブリョフのそれとほとんど同じである。とくに三人の天使たちのポーズはほとんどそのままと言ってよい。違っているのは、背景の描き方と、テーブルの上に置かれた杯の数くらいだ。杯が、この作品では、一つではなく三つになっている。

イコンが同じ図柄で大量に作られたことの背景には、イコンを個人的に所有したいという庶民の望みがあったようだ。庶民の信徒たちはイコンを個人的に所有し、それに向かって日々礼拝する習慣が広まっていたのである。(板にテンペラ 145×116㎝)




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