壺齋散人の美術批評 |
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フラン・チャンと私 フリーダ・カーロの自画像 |
フリーダ・カーロは、生涯に200点あまりの作品を手掛けたが、その大部分は自分自身をモデルにしていた。そのうち55点にのぼる作品は、上半身をアップした半身像で、そのどれもがユニークな装飾性に富んでいる。彼女が自画像にこだわったのは、一人で過ごす時間が多く、自分自身をモデルにするのがてっとりばやかったからだと語っている。 「フラン・チャンとフリーダ・カーロ(Fulang-Chang y Frida Kahlo)」と題されたこの絵は、自分自身をモデルにした半身像の初期の傑作である。フリーダは、自分の半身像にサルやオウムなど動物を添わせるのが好きだった。この絵の中のサルは、彼女が飼っていたフラン・チャンという名のクモザルである。 1938年10月にニューヨークのジュリアン・リーヴィ・ギャラリーで開かれた初の個展にこの作品を出したところ、いい価格で売れた。この絵を、当時ニューヨークの現代美術館長だったコンガー・グッドイアーが欲しいといったが、すでに売り手がついたあとのことだった。 彼女は長髪を無造作にたばね、クモザルを胸に抱いている。左右の眉毛がつながっているのは、彼女の自画像の特徴である。彼女の現実の眉毛は、こんな風ではないのだが、いわゆるげじげじ眉毛ではある。 (1937年 メソナイトに油彩 40×28㎝ ニューヨーク現代美術館) |
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