壺齋散人の美術批評 |
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猿のいる自画像 フリーダ・カーロの世界 |
「猿のいる自画像(Autorretrato con mono)」と題されたこの絵は、ニューヨーク現代美術館の館長コンガー・グッドイアーの注文を受けて制作したもの。グッドイアーは、ジュリアン・リーヴィ・ギャラリーでのフリーダの個展に展示されていた「フラン・チャンとフリーダ・カーロ」を欲しがったのだったが、すでに他の人のものになっていたので、同じような構図の絵を描いてほしいとフリーダに頼んだ。それを受けてフリーダは、メキシコへ旅立つ前に、ニューヨークのホテルでこの絵を完成させた。 「フラン・チャンとフリーダ・カーロ」の構図は、巨大な植物の葉を背景にして、胸にクモザルを抱いたフリーダの上半身(肩から上)を、画面のやや下寄りに配置したものだった。この絵では、フリーダの上半身は、画面のほぼ全体を占め、クモザルは彼女の背後に控えている。このクモザル(フラン・チャン)は彼女のペットであり、ほかの作品にも登場する。 髪を髷に結い、首にはメキシコ先住民の先史時代の首飾りをつけている。こうすることで彼女は、メキシコの伝統に連帯を表明しているのである。 (1838年 メソナイトに油彩 40.6×30.5㎝ バッファロー、オルブライト・ノックス美術館) |
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