壺齋散人の美術批評
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ザ・フレーム フリーダ・カーロの自画像




アンドレ・ブルトンの企画により、1939年にパリで「メキシコ展」が開催された。リベラとフリーダの夫妻は、トロツキーを通じてブルトンと親しくなった。ブルトンは、フリーダの描いた「トロツキーに捧げる自画像」に感銘を受け、彼女のためにもなると思って、この展覧会を企画したのだった。フリーダはこの展覧会に「ザ・フレーム(Autorretrato"The Frame")」と題された自画像を出展した。それをルーヴル美術館が買い求めた。ヨーロッパ以外の美術家の作品を、メジャーな美術館が買収するのは初めてのことだった。もっともルーヴル側では、フリーダ自身を高く評価していたわけではなく、ディエゴ・リベラの妻と認識していたようである。

非常に特殊な素材を用いている。青い背景とフリーダの半身部分はアルミニウムの板に描かれ、周囲の装飾的な部分はガラスの板に描かれている。この素材をフリーダはメキシコのオアハカの市場で買ったという。

アルミとガラスの境目の部分が、黒ずんでいるように見える。そこは、ガラスがアルミに重なる部分なのであろう。フリーダ自身は、ほかの自画像に比べると、素直な表情に見える。

(1838年 アルミとガラスの組み合わせに油彩 28.5×20.7㎝ パリ、国立現代美術館)



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