壺齋散人の美術批評 |
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断髪の自画像 フリーダ・カーロの世界 |
「断髪の自画像(Autorretrato con pelo cortado)」と題されたこの絵は、ディエゴと離婚した直後に描かれた。おなじみのテワナをぬぎ、男物のスーツを着て、男のような髪型になったフリーダが、じっと我々を見つめている。これは、フリーダの中にあったバイセクシャルの傾向のうち、男性的な面を強調した作品である。 フリーダは、右手にはさみを持っている。そのはさみで自分の長い髪を切ったのだ。髪の断片がいたるところに散らばっている。その量は半端ではない。フリーダの髪がいかに豊かだったか、あらためて感じさせる。髪を切ったことで、フリーダは男っぽくなったが、しかし女らしさをすべて切り捨てたわけではないことは、イアリングをつけていることに見て取れる。 画面上部に、髪をテーマにしたメキシコの流行歌の歌詞とメロディの譜面が記されている。歌詞の意味は、「ほら、わたしがあなたを愛したのは、髪のせいでした。いまやあなたは髪がないので、もう愛してはいません」というものだ。 (1940年 カンバスに油彩 40×27.9㎝ ニューヨーク、現代美術館) |
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