壺齋散人の美術批評 |
HOME | ブログ本館 | 東京を描く | 水彩画 | 日本の美術| プロフィール | 掲示板 |
ドクター・エレッサーに捧げる自画像 フリーダ・カーロの世界 |
「ドクター・エレッサーに捧げる自画像(Autorretrato dedicado al Dr. Eloesser)」と題されたこの絵は、サンフランシスコ滞在中に世話になり、その後深い交際を続けてきたメキシコ人医師レオ・エレッサーに捧げられたものである。エレッサーは、医師としてフリーダを支えたばかりではなく、彼女のよき理解者として心の支えにもなった。そんなエレッサーへのフリーダの感謝の気持ちを込めた作品だと解釈されている。 だが、画面をみるとよくわかるように、この絵には、自立した一人の女性としてのフリーダが生き生きと表現されている。この時期、フリーダはディエゴと離婚したばかりで、いろいろな意味で自立を希求していた。その自立への強い意思が伝わってくる作品である。 フリーダは、色鮮やかな花の冠をかぶり、棘ののびた茨のネックレスをつけている。イアリングは人間の手を逆さにぶら下げた形である。これらによってフリーダが何を象徴させているのか。ともあれ、フリーダの表情は、意思の強さと抑制された感情をあらわしている。画面下には、判読困難な文字が書かれた絹のリボンが、手に握られた形で描かれている。おそらくエレッサーへの感謝の言葉が記されているのであろう。 (1940年 メソナイトに油彩 59.5×40㎝ プライベート・コレクション) |
HOME | フリーダ・カーロ | 次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |