壺齋散人の美術批評 |
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私とオウム フリーダ・カーロの世界 |
「私とオウム(Yo y mis pericos)」と題されたこの絵は、一時期恋愛関係にあった写真家ニコラス・ムライを念頭に置いた作品と解釈されている。二人は、フリーダの最初の個展(1938年)で知り合って以来、恋愛関係になったという。フリーダがディエゴと離婚・再婚をするあいだ、ムライはフリーダに付き添っていた。その二人の関係は、1941年に終わる。この絵は、その愛の終わりに促されて描いたということらしい。 フリーダは、ディエゴと再婚したあとも、同居はせずに、コヨヤカンの自分の家で暮らした。その家では、多くのペットを飼っていた。この絵の中のオウムは、そうしたペットたちの一部である。 オウムは、ヒンドゥー教の神カーマの従者である。カーマは、人間の愛と欲望をつかさどる。だからこの絵は、フリーダ自身の愛と欲望を表現したものだと解釈することもできよう。もっとも、この絵の中のオウムたちは、フリーダの欲望を掻き立てているようには見えない。むしろ、彼女の気持ちを落ち着かせているように見える。 (1941年 カンバスに油彩 82×62.8㎝ ニュー・オリンズ、プライベート・コレクション) |
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