壺齋散人の美術批評 |
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死を考える自画像 フリーダ・カーロの世界 |
1940年代以降、フリーダは全身にわたって不調を感じるようになり、ベッドで過ごす時間が増えた。そんなこともあって、自分の死について考えるようになった。「死を考える自画像(Pensando en la Muerte)」と題されたこの絵は、そんなフリーダの、自分自身の死をイメージした作品である。 例によって四分の三の角度に体をずらし、その角度から我々を見つめるフリーダ。彼女の額の真ん中には、髑髏のおかれた荒涼たる大地が浮かび上がって見える。これは、彼女が考えている死が、髑髏の形をとって浮き出たのであろう。 一方、背景にはサンザシの枝が配されている。メキシコ先住民の言い伝えでは、サンザシの枝は、死と再生のシンボルである。鋭い棘が死の、大きくて豊かな葉が再生の、それぞれ象徴と考えられている。この言い伝えをほのめかすことによってフリーダは、自分自身の死をメキシコ先住民の死のイメージに結びつけようとしたのであろう。 (1943年 カンバスに油彩 44.5×36.3㎝ プライベート・コレクション) |
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