壺齋散人の美術批評
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太陽と生命 フリーダ・カーロの世界




「太陽と生命(El Sol y la Vida)」と題されたこの絵は、自然の豊饒さへのフリーダの憧れを表現したものだと解されている。フリーダ自身は、事故のために子を産めない体質になってしまったが、子を持つことへのこだわりを捨てることができなかった。この絵には、そうしたフリーダの複雑な気持ちが込められている。

フリーダ自身を思わせるような真っ赤な太陽と、それを囲んだ奇妙な形の植物群が描かれている。植物の中には生命の兆しがみえる、おそらく生命をはらんだ子宮をこれらの植物はあらわしているのだろう。子宮の中には精子を思わせるものがあふれている。右端の緑色の細長いものは、射精するペニスのように見える。

子宮を思わせる植物は花のようにも見え、それからは直接根っこが生えている。根っこは大地から養分を吸い取る役目を果たす。この絵の中の根っこは、直接太陽の光を浴びている。根っこはまた、葉っぱのようにも見える。

(1947年 メソナイトに油彩 40×50㎝ メキシコシティ、ガレリア・アブリル)



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