壺齋散人の美術批評
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愛の抱擁 フリーダ・カーロの世界




「愛の抱擁(El abrazo de amor de entre el Universo, la Tierra, yo, Diego y el señor Xólotl)」と題されたこの絵は、かなり複雑な構造になっている。正式なタイトルには、「宇宙、地球、私、ディエゴ、セニョール・ショロトルの愛の抱擁」とある。宇宙と地球はシンボリックに表現されている。一方、私はディエゴを抱いた姿で表現されている。では、セニョール・ショロトルはどう表現されているか。ショロトルは、アステカ神話に出てくる双子である。とすれば、私とディエゴを抱えているものと、その背後にあって画面いっぱいに腕を広げているのがその双子なのだろうか。

画面ほぼ中央で、私がディエゴを抱いている姿は、フリーダの母性本能をあらわしていると思われる。ディエゴの額には第三の目がついている。第三の目は芸術家の特別な視野をあらわしているのだろう。フリーダのディエゴへの愛と尊敬が感じられる。

画面を二つにわけ、それぞれを太陽と月、昼と夜の二元性として表現するのは、フリーダの好んだ構図だ。

(1949年 メソナイトに油彩 70×60.5㎝ メキシコシティ、プライベート・コレクション)



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