壺齋散人の美術批評 |
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生ける自然 フリーダ・カーロの世界 |
フリーダは、1950年に受けた脊椎手術がうまくいかず、車椅子生活を余儀なくされた。そんなわけで、大作に取り組みことができなくなり、身近な対象を描いた静物画が多くなった。晩年のカーロが描いた静物画には果物を描いたものが多い。「生ける自然(Naturaleza Viva)」と題されたこの絵は、カーロ晩年の静物画を代表する作品である。 果物やイモ類などの食べ物とならんで、白い鳩が描かれている。鳩は平和のシンボルだろう。食べ物は命の泉となるものだ。平和で生き生きとしていること、それが自然本来の姿だというメッセージが伝わってくる。 画面の左半分は夜のイメージ、右半分は昼のイメージだ。このように画面を昼と夜に分割するのは、フリーダがよく用いた技法だ。昼は太陽が支配し、夜は月が支配している。 なお、植物からは直接根が生え、それらが互いにからまりあって、NATURALEZA VIVAの文字を浮かび上がらせている。 (1952年 カンバスに油彩 44×59.7㎝ メキシコシティ、プライベート・コレクション) |
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