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マルクシズムは病を癒す フリーダ・カーロの世界 |
晩年のフリーダは車椅子生活になり、しかも死の前年1953年には右脚を切断するなど、きわめて困難な状況に陥ったので、大作は描けなくなった。そういう中で渾身を振り絞って制作したのが「マルクシズムは病を癒す(El marxismo dará la salud a los enfermos)」と題されたこの絵である。若い頃からマルクス主義者を自認していたフリーダは、晩年ますますマルクス主義に自覚的になった。この絵には、マルクス主義者としての、自分自身の信念が込められている。 絵の中のフリーダは、メキシコの民族衣装テワナを着てまっすぐに立っている。二本の松葉杖は投げ捨てられ、コルセットも外された。自分をこのように勇気づけてくれるのはマルクシズムの思想だ。そのマルクスが、フリーダの守護神として彼女を見守りながら、鷲の身体を持った資本家の首をひねっている。 フリーダが左手で持っているのは聖書ではなく、マルクスの著作であろう。この絵をフリーダは、死の直前まで手掛けていたようである。フリーダの死後も、彼女の家にとどまった。 (1954年頃 メソナイトに油彩 76×61㎝ メキシコシティ、フリーダ・カーロ美術館) |
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