壺齋散人の 美術批評
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頭、手、足、そして心を持っている(hat Kopf,Hand,Fuss und Herz)クレーの天使




この絵「手、足、そして心を持っている(hat Kopf,Hand,Fuss und Herz)」は、人間の身体を分解してみせたものだろうか、それとも人間の部品らしいものを寄せ集めてきて、これから人間のモデルを作ろうというのだろうか。クレーには、このような実験を思わせるような試みの絵がけっこうある。

頭というか、顔の部分は、線と円を組み合わせている。セネキオの手法を思わせるところだ。残りの三つの角に、手と足が配置されているが、どういうわけかそのひとつには、手足が共存している。そして真ん中に描かれたハート型が、心を意味するわけだろう。心は有形のものではないが、もし絵に描くとしたら、ハート型が相応しい。

白い紙にうっすらとした淡彩を施し、形の周囲には暗い影を施すことで、形を浮かび上がらせている。いろいろな点で、クレーの実験精神を感じさせる絵だ。

(1930年、綿布に水彩とインク、41.8×29.0cm、デュッセルドルフ美術館)





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