壺齋散人の 美術批評 |
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ダナエ(Danae):クリムトのエロス |
ダナエはギリシャ神話に出てくるキャラクターである。その美しさをゼウスに見そめられたが、彼女が生んだ子は父親を殺すであろうとの予言を信じた父が彼女を塔の中に幽閉して、男を近づけさせないようにした。そこで彼女が恋しいゼウスは、黄金の雨となって塔の窓から侵入した。その結果生まれたのが英雄ペルセウスである。 この絵は、黄金の雨が裸のダナエに降り注ぐところを描いている。ダナエは体を丸めて両脚を開き、その両脚の間に向かって黄金が降り注いでいる。ダナエの表情が性的恍惚を感じさせるのは、黄金の雨が彼女の性感を刺激しているためだと思われる。 この絵は、ギリシャ神話に題材をとりながらも、実は女性の性的エクスタシーを描いたとする見方もある。女の左手は太股の影になってよく見えないが、どうやら自慰をしているようにも見える。女が自慰するという構図は、クリムトのデッサンに多くあることから、この絵はそれを昇華させた作品といえなくもない。 これは、女の表情の部分を拡大したもの。女の顔が性的なエクスタシーを感じさせる。また指を広げた右手は、ほとんど手としての実在感を感じさせない。 (1908年 カンヴァスに油彩 77×83cm 個人蔵) |
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