壺齋散人の美術批評 |
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水門 コンスタブルの風景画 |
「水門(The Lock)」と題されたこの絵は、トアー川をモチーフにした大作六点シリーズの第五作。シリーズの中で唯一縦長の画面である。1825年のアカデミー展に出品され、大きな評判を得て、すぐさまに売れた。気をよくしたコンスタブルは、まったく同じ画面のものを他に二つ制作している。また、白黒画面のものの制作も許している。 タイトルにあるとおり、トアー川に設けられた水門を描いている。この水門は閘門の役割を果たしており、船の通行に欠かせないものだ。絵は、その閘門を操作して、船を通過させるさまを描く。船は画面右手に待機し、閘門があいて水位がフラットになるのを待ち受けている。 背景に巨大な樹木を配し、空を雲に覆わせているのは、コンスタブルの得意とする構図である。地形の平板なサフォークでは、ほかに景色に変化をつける要素に乏しいのだ。なお、平坦な地形の遠景には、デダム協会がかすかに見える。 (1824年 カンバスに油彩 121×140㎝ 個人蔵) |
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