壺齋散人の美術批評 |
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デダムの谷 コンスタブルの風景画 |
デダムは、コンスタブルが少年時代に通った学校のある町だ。「デダムの谷(The Vale of Dedham)」と題されたこの絵は、その町を見下ろす構図で描かれている。谷とはいっても、この地方はかなり平坦な地形なので、周囲より多少低いくらいで、ほとんど同じ平面といってよい。 この構図をコンスタブルは、少年時代に通った道からとったのだと思う。なつかしさを感じながら描いたであろう。その道はトアー川に沿っていた。この絵の中にも、トアー川は描かれている。川はおそらくデダムの谷に流れ入るのであろう。 多くの批評家が、クロード・ローランの影響を指摘している。クロード・ローランも、平坦な地形を舞台にして、樹木と空を大きく描いた。この絵では、空は厚い雲に覆われている。それでも光は地上に注いでいる。その光をコンスタブルは、白い顔料で表現している。なお、この作品は、1929年のアカデミー展に出品された。 (1828年 カンバスに油彩 144.5×122㎝ エディンバラ、スコットランド国立博物館) |
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