壺齋散人の美術批評
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市場からの道 ゲインズバラの風景画




「市場からの道(Road from Market)」と題されたこの絵は、ゲインズバラが久しぶりに制作した風景画である。ゲインズバラは、生活のために金持ちの肖像画を主に描いていたので、好きな風景画を描く時間的な余裕がなかった。この大きな画面に風景画を描いたのは、生活に余裕ができたからだろう。

森の中を抜けていく道に、四人の人物が描かれる。先頭の男は普通に前向きに乗っているが、他の三人は横向きに乗っている。女性には横向きも似合うが、男まで横向きというのは面白い。

この道は、タイトルからして市場から伸びている道なのであろう。彼らは市場で商いをしたあと、この道を通って家路についているのであろう。道は舗装されておらず、でこぼこしている。これを馬に乗って移動するのはかなりな負担だと思われる。

樹木のグリーンが鮮やかで、全体として寒色優位の雰囲気でまとめられている。

(1767-1768 カンバスに油彩 121.3×170.2㎝ トレド美術館)



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