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マーケットカート ゲインズバラの風景画




「マーケットカート The Market Cart」と題されたこの絵は、田園地帯をゆく馬車を描いている。その馬車が通る道は、今日ゲインズボロー小道と呼ばれるもので、サフォーク地方にあるそうだ。おそらくこの地方が生んだ偉大な画家ゲインズバラの名にちなんだのであろう。

画面には、小道を通り抜ける馬車が描かれている。馬車の上には二人の婦人が乗り、その馬車を母親とその子供が追いかけている。その人たちを犬が先導する。のどかな眺めである。もともとの絵にはここまでが描かれ、右手にいる男は後で追加されたものである。その薪を集めている男は、左側に偏った人物の配置とバランスをとるために付け加えられたのであろう。

ゲインズバラはこの絵が気に入って、死ぬまで手元に置いていた。かれが死んだのは、この絵を制作した一年半後のことである。

(1786年 184×153㎝ ロンドン、ナショナルギャラリー)



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