壺齋散人の美術批評 |
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ヴェニス ターナーの風景画 |
ターナーはヴェニスが気に入って、生涯に三度長期旅行をしている。最初は1819年から翌年にかけて、二度目は1833年、三度目は1840年だった。かれが最初のヴェニス訪問の際にてがけたスケッチや水彩画をもとに、大きな油彩画を制作したのは1833年5月ごろのことであった。それがきっかけで、かれはヴェニスをモチーフにした作品を作りたいと望み、1833年の夏に、ヴェニスに滞在して、スケッチや水彩の下絵を多数ものにした。そして、それらをもとにヴェニスをモチーフにした一連の油彩画を制作した。 ずばり「ヴェニス(Venice - The Dogana and San Giorgio Maggiore)」と題されたこの絵は、二度目のヴェニス滞在から生まれた作品。この作品は、翌1834年のローヤル・アカデミー展に出品された。マンチェスターの織物業者が350ポンドで買い取った。それに気をよくしたターナーは、以後1846年までほぼ毎年、ヴェニスをモチーフにした作品をローヤル・アカデミーに出展し続ける。 ヴェニスの港のにぎやかな光景を描いている。副題に「税関とサン・ジョルジョ大聖堂」とあるとおり、右手前が税関の建物、その奥の塔がサン・ジョルジョ大聖堂である。船を含めて手前側のモチーフは明確な線で描かれているが、中景から遠景にかけては、曖昧な線で描き、光を感じさせるよう工夫している。 (1834年 カンバスに油彩 90×122㎝ アメリカ、ワシントン国立絵画館) |
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