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ジャルダン・ド・パリのジャンヌ・アヴリール:ロートレックのポスター |
ロートレックは、1892年のポスター「ディヴァン・ジャポネ」の中で、当時人気のダンサー、ジャンヌ・アヴリールを観客の一人としてそれとなく描いたが、今度は自分の名を主題にしたポスターを作ってほしいとジャンヌにねだられた。その結果作ったのが翌1893年のポスター「ジャルダン・ド・パリのジャンヌ・アヴリール」である。 ジャルダン・ド・パリは、シャンゼリゼ通りにオープンしたばかりの音楽カフェ。そこに常時出演していたジャンヌが、カフェの宣伝を兼ねて、自分のポスターを作ってほしいと思ったわけだ。 ジャンヌはカンカン踊りが得意だったようで、ポスターではその踊りの振り付けで踊るジャンヌが描かれている。彼女の顔はあまり美人ではないが、姿形はダンサーらしくキリリとしている。 踊るジャンヌを対角線から伸びた線の枠が取り囲んでいるが、これはドガにヒントを得たらしい。対角線の部分は、おそらくコントラバスと思われる楽器の竿の部分だ。その竿を楽師が握っており、その握った手には毛が生えている。こうした細部へのこだわりは、ロートレックの特徴の一つだ。 顔料は、オリーヴグリーン、黄色、オレンジ、赤、黒を使い、比較的シンプルに仕上げている。当時のレビュー雑誌「ラール・フランセ」はこのポスターを、トランペットの音のようにシャープだと評した。 (1893年 リトグラフ 130×95㎝) |
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