壺齋散人の 美術批評 |
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アリスティード・ブリュアン:ロートレックのポスター |
ロートレックは、アリスティード・ブリュアンをフィーチャーしたポスターを四点作っているが、これはその代表作。ブリュアンはこのポスターを自分のトレードマークとして使い、自分が出る舞台にはかならずこれを飾ったという。舞台のみならずパリの街角をも長く飾ることとなり、ブリュアンはこのポスター共々パリ名物になった。 ブリュアンはまた、この図柄を自分の雑誌「ミルリトン」にも掲載した(テオフィル-アレクサンドル・スタンランの模写で)。いかにブリュアンがこの図柄を気に入っていたかを物語るものだ。 黒い上着の下に赤いシャツを着て、同じく赤い色のマフラーをなびかし、黒い幅広帽子をかぶった姿は、以前の二点のポスターと同じいでたちだが、これはこちらに背中を見せて肩越しにちらりと後ろを振り返っている。ブリュアンの実物を映した写真と比べると、こちらのほうがブリュアンの実像に近いと思われる。ブリュアンがこのポスターを最も愛したのは、それが自分のイメージに最も近いと思ったからだろう。 黒い部分の周囲をグレーの太線で区切っているが、これは輪郭線にこだわったロートレックの妥協の仕業と考えられる。 顔料は黒を中心に、オリーブグリーン、赤、黄色を使い、大胆でわかりやすい色彩感を演出している。 (1893年 リトグラフ 127×92㎝) |
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