壺齋散人の 美術批評 |
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ドイツのバビロン:ロートレックのポスター |
ロートレックは、ヴィクトル・ジョーズの小説「喜びの女王」のためにポスターを制作したことがあったが、引き続き彼の小説「ドイツのバビロン」のためにポスターを制作した。この小説の内容がどのようなものか、筆者は知らないが、どうやらフランス人の反ドイツ感情をあおる要素があったらしい。 そんなこともあってジョーズは、自分で依頼しておきながら、このポスターがスキャンダルを起こすことを恐れて、依頼を撤回しようとしたらしい。しかしその前にポスターは完成してパリの街を飾る事態になってしまった。 ロートレックとしては、初刷りのポスターには、小説の題名やジョーズの名を伏せて、図柄だけを印刷させることで、ジョーズの恐れを和らげようとしたようだ。ともあれこのポスターのそもそもの意図は広く世の中の知るところとなり、ポスター作家としてのロートレックの名声はいよいよ上がった。 図柄は、街をゆくドイツ騎兵隊の一団と、手前で担え銃の姿勢をとっている歩哨をフィーチャーしている。この歩哨の表情が、いかにもドイツ的な不遜さを表現しているとして話題となったようだ。顔料には、オリーブグリーン、黄色、赤、ダークブルー、黒の五色を用いている。 (1894年 リトグラフ 130×95㎝) |
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