壺齋散人の 美術批評 |
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当世の職人:ロートレックのポスター |
キャバレーや書物の宣伝のためのポスターから出発したロートレックは、やがて一般の顧客からの商業用ポスターの依頼も受けるようになった。この「当世の職人」は、そうした仕事の最初のものである。この仕事をロートレックは、インテリア・デザイン会社を運営するアンドレ・マルティから依頼された。 マルティはまた、「レスタンプ・オリジナール」という雑誌も運営していた。ロートレックはその雑誌のための挿絵も提供している。 図柄は、手前にベッドに横たわる女性を大きく描き、背景に二人の男女を配している。男女のうち男の方は、内装職人らしく、両手に作業用の道具を持っている。横たわっている女性が誰かわからぬが、男のほうは.宝石細工師のアンリ・ノックだという説が有力だ。 初刷りでは、レタリングはなかった。二刷り以降、別の人の手によって書き加えられたものだ。なお、レタリングの右隣にあるモノグラムには、像の形が使われている。この像のモチーフをロートレックは、以後の作品のなかでしばしば用いた。 顔料は、ダークブルー、黄色、グリーン、ブラウンの四色を用い、比較的軽快な印象に仕上げている。 (1894年 リトグラフ 90×63cm) |
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