壺齋散人の 美術批評 |
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マドモアゼル・エグランティーヌ一座:ロートレックのポスター |
ロートレックは、ロンドンで興行しているダンス・グループ「マドモアゼル・エグランティーヌ一座」から、ポスターの注文を受けた。注文の内容は、一座の四人の花形ダンサーである、マドモアゼル・エグランティーヌ、ジャンヌ・アヴリール、クレオパトラ、ガゼルの四人が並んでカンカン踊りを踊っているところを描き、レタリングとしてこの四人の名前を、上に述べた順序に並べ、そこにパレス・シアターの文字も加えて欲しいというものだった。 後日、パレス・シアターの文字はいらないと言ってきた。他の劇場での興行にもこのポスターを使いたいからという理由だった。 ロートレックは、注文の趣旨を踏まえて、四人のダンサーが並んでカンカン踊りを踊っている姿を描いた。彼女らは生き生きと描かれており、おそらく満足してもらえたのだと思う。ただ彼女らのひとつ気に入らない点があった。レタリングの書き方だ。この書き方だと、エグランティーヌがクレオパトラの役を演じ、ジャンヌ・アヴリールがガゼルの役を演じていると誤解されてしまう。 顔料は、シアン、赤、黄色、ダークブラウンの四色を用い、踊りの絵らしく軽快な印象に仕上げている。 (1896年 リトグラフ 61×80㎝) |
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