壺齋散人の 美術批評
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ラ・ジャポネーズ(La Japonaise):モネ




「ラ・ジャポネーズ(La Japonaise)」には日本人女性という意味もあるが、この絵の中の女性は日本人ではない。モネ自身が後に言っているように、最初の妻カミーユである。そのカミーユに日本風の衣装を着せて描いたわけである。ジャポネーズには日本風という意味合いもある。

19世紀末のフランスでは日本趣味=ジャポニズムが流行した。絵画からキャバレーなどの風俗分野まで、日本趣味があふれていた。絵画の分野ではマネやゴッホの日本趣味が有名だが、モネはあまり日本趣味にはかぶれなかったようだ。

この絵の中の女性は和服を着て扇子を持ち、また背後の壁にも多くの団扇がかけられ、それらには浮世絵が印刷されているようだが、そこには浅はかなエキゾチズムが感じられるのみで、日本への深い理解は感じられない。

こういうとモネの意気込みを馬鹿にしているように聞こえるが、当時のフランス人の日本趣味全体が浅はかだったのだから、モネ一人を馬鹿にしているわけではない。

(1876年 カンバスに油彩 231.8×142.3㎝ ボストン美術館)




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