壺齋散人の 美術批評
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ヴェトゥイユの画家の家:モネ




カミーユが死んだ後、モネは残された二人の子供とともにヴェトゥイユの家に住み続けたのだが、同じ家に同居していたオシュデの妻アリスと急速に親密になった。アリスは夫のエルネストが仕事でパリに滞在しても、モネの二人の息子の面倒を見ると言って、ヴェトゥイユの家に残った。この絵は、そんなモネの周辺を描いたものだ。

背景にはモネが住んでいたアパルトマンが立ち、その前景に庭園が広がっている。庭園にはひまわりをはじめ夏の花々が咲き広がっている。その花々に囲まれるようにしてモネの二人の子供たちが遊んでいる。そしてその子供たちの背後に、彼らを見守るようにして立っているのがアリスだと思われる。

この絵の中の子どもたちは、まだ幼い感じに見える。下の子はともかく、上の子のジャンは14歳にはなっていたので、これは現実のジャンと言うよりは、モネの想像のなかのジャンといえそうだ。

空のまばゆい光を受けて、庭園は密度の高い空気を感じさせる。印象派の技法を意識的に採用しているのだ。

(1881年 カンバスに油彩 150×120㎝ ワシントン、国立美術館)




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