壺齋散人の 美術批評
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積みわら:モネの連作




モネは1890から翌年にかけて、ジヴェルニーの家の付近にあった畑の積わらを沢山描いた。モネの晩年の画業を飾るものとして、一連の連作があるが、これはその最初のものになった。作品の数は十点以上にのぼる。それぞれ、季節ごとや、日の移り変わりの特徴をよくとらえており、それらを並べて見ることで、全体としての作品のメッセージを読み取れることができるようになっている。

上の絵は、「夏の終わり、夕方の効果」と題した作品。夏の終わりごろの太陽は早く移る。それに間に合うようにモネは絵筆を走らせ、この頃の日差しが対象にもたらす視覚的な効果を存分に捉えて表現しようとしている。

日差しは左手やや上方から来ており、それが積みわらの右手と、右下に濃い影を作っている。



これは「雪解け、日の入り」と題した作品。冬の終わりの、やはり夕方の光を捉えたものだ。冬の日差しらしく、積みわらに長い影をもたらしている。おそらく上の絵の積わらのうち、右手のものだと思う。

(1890年から1891年 カンバスに油彩 各66×93㎝ ともにシカゴ美術館 )




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