壺齋散人の 美術批評
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プシェミスル・オタカルⅡ世:スラヴ叙事詩



(プシェミスル・オタカルⅡ世:スラヴ叙事詩)

「プシェミスル・オタカルⅡ世」は、チェコの歴史上もっとも偉大な王といわれる。彼が在位した13世紀の中頃、ボヘミア(今日のチェコ)は、国威がもっとも発揚し、近隣諸国と同盟を結んで、平和な時代を謳歌していた。

オタカルⅡ世はハンガリー王の孫娘と結婚することで、中部ヨーロッパに大きな基盤を築いた。この絵は、そのオタカルⅡ世が、ハンガリーの特使を接見するところを描く。巨大な特設テントの中に礼拝堂を設け、その前に坐したオタカルⅡ世がいまにも使者の挨拶を受けようとするところ。

背景の礼拝堂には、翼を広げた鷲が描かれているが、これは王のエンブレムである。左手前は王のベッドであろうか。ここに花嫁を迎え入れようというわけか。

(1924年 カンバスにテンペラ 405×480㎝ プラハ、ヴェルトゥジニー宮殿)


(セルビアの皇帝ドゥシャンの東ローマ皇帝即位)

スラヴ人国家セルビアは14世紀にもっとも国威が発揚した。セルビア王ドゥシャンが東ローマ皇帝を兼ねるほどであった。当時東ローマ皇帝はまだ巨大な権威を持っていたから、その皇帝を兼ねることは、東方世界の覇者たるを意味した。

この絵は、即位を祝う人々の行列を描いたもの。即位の直後、行進する更新する王の一行を大勢の人々が祝っているところ。王自身は、画面のほぼ中央に、輿に乗り正面を向いている姿で描かれている。



これは、行列の最前部を歩く少女たち。左手の少女が手に持っている若枝は、希望の象徴である。

(1926年 カンバスにテンペラ 405×480㎝ プラハ、ヴェルトクジニー宮殿)


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