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織物組合の評議員たち:レンブラント




1662年の作品「織物組合の評議員たち」は、レンブラント晩年の集団肖像画の傑作。「夜警」に比べると単純な構図で、「トゥルプ博士の解剖学講義」と似た雰囲気を感じさせる。「解剖学講義」のほうは、主任教授を中心にして解剖の現場の雰囲気が如実に伝わるように描かれていたが、こちらは組合評議員の会議の様子がやはり如実に伝わって来る。

おそらく決算か何か会議の現場なのだろう。広げられた書類の前に座る二人の男は、組合の会長と評議員、その右隣の男は会計だと思われる。左手に腰を浮かしている男は、左手に持った手帳で身を支えているが、この手帳は監査報告か何か発言のメモかもしれぬ。画面を見る者は、人物のそれぞれの仕草から、彼らがどのような役割を担っているか、推測することができる。

面白いのは、彼らの視線だ。だいたいが同じ方向を見ている。おそらく部屋に入ってきた第三の人物に注目しているのだろう。その視線は、この絵が飾られている部屋に人が入っていくと、その人に注がれるようになっている。絵はその人の背丈より高いところに飾られているために、あたかも上から見下ろされるような感じを受ける。

(1662年 カンバスに油彩 191×279㎝ アムステルダム、国立美術館)




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