壺齋散人の美術批評
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無関心:ヴァトーのロココ世界




「無関心(L'Indifférent)」と題されるこの作品は、「ラ・フィネット」とともに一対をなすものとして見られることが多い。どちらも非常に小さな画面に人物の姿を描いており、ほぼ同時期に描かれ、また同じころにルーヴルに収蔵されたからだろう。

「ラ・フィネット」が女性の愛くるしい仕草を描いているのに対して、こちらは若い男がダンスのステップを踏んでいるところを描いている。その姿をちょっとみた限り、女性に見えなくもないほどだが、実は軍神マルスをイメージしているとする説もある。

モデルはわからない。依頼されて描いた肖像画というよりは、ヴァトーの趣味を表現したものだろうと思う。その趣味とは、人間を典雅に表現することだった。

(1716年 カンバスに油彩 25×19㎝ ルーヴル美術館)



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