壺齋散人の美術批評 |
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ピエロ:ヴァトーのロココ世界 |
ヴァトーは、喜劇役者をモチーフにした作品をいくつも制作している。フランスの喜劇一座やイタリアの有名な喜劇一座「コンメーディア・デッラルテ」もモチーフに取り上げている。「ピエロ」あるは「ジル」とよばれるこの作品は、喜劇役者をモチーフにしたものとしては、最も早い時期のものである。 画面いっぱいにピエロの全身像を描き、その足元にコンメーディア・デッラルテのストックキャラクターを配している。ストックキャラクターというのは、外見からすぐにそれとわかるキャラクターのことをいう。日本でいえば、能役者や歌舞伎役者のようなものだ。 制作の経緯についてはほとんどなにもわかっていない。モデルについても明かではない。ヴァトー自身の自画像ではないかとの説もあるが、憶測にすぎない。 そうした憶測の一つに次のようなものがある。モデルはギリシャ人のコメディアン、ベリーニというもので、そのベリーニが芝居を引退したあとパリの下町でカフェを開業した。この絵は、そのカフェをかざるために描かれた、というものである。 (1917年頃 カンバスに油彩 184.5×149.5㎝ パリ、ルーヴル美術館) |
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