壺齋散人の美術批評 |
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メズタン:ヴァトーのロココ世界 |
「驚き」の画面の中にいたメズタン(メッツェティーノ)を単独でフィーチャーしたのがこの作品。メズタンは、一人で公園のベンチに腰掛け、ギターを弾いている。だが、よく見ると、彼の視線は上方のバルコニーらしき方向へ注がれている。もしかしたら、メズタンはバルコニーにいる恋人に愛の歌を贈っているのかもしれない。 だが、メズタンの背後にいる恋の女神ヴェヌスは、メズタンに背を向けている。ということは、メズタンは恋に見放されているということか。フリル付きのショートパンツのワンピースに赤いマントをひっかけ、やはり赤っぽい頭巾をかぶった姿は、17世紀以来のコンメーディア・デッラルテの道化役の主要なキャラクターである。 この絵は、一時エルミタージュの看板作品として展示されていたが、ソヴィエト政府によって売りに出された以後は、所有者を転々として、1934年にニューヨークのメトロポリタン美術館の所有に帰した。 (1918年 カンバスに油彩 55.2×43.2㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) |
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